和装を楽しみたい方へ#2

買えない-高い
-きものの適正価格

 1kgのワタと1kgの鉄の塊ではどっちが重い?と聞かれて、思わず鉄と答えてしまった経験はありませんか。

同じように30万円のきものと30万円の洋服ではどっちが高い?と聞かれたら、思わず洋服と答えてしまうのは私だけでしょうか。

 例えば30万円の訪問着や袋帯といえば、呉服屋さんや百貨店の呉服売り場にはどこでもあるような商品です。それはインターネットでもたくさん出品されています。一方30万円の洋服となるとインターネットで探すのは少々難しくなります。さらになかなか手の届かないヨーロッパの一流ブランドでも、単品ならば買えてしまいそうな高価格帯になると思います。

 表現が難しいのですが、きもの全体の中での30万円という値段のイメージは、洋服で考えると10万から15万円ぐらいに当たる気がします。つまり庶民感覚では、もちろん決して安物ではないけれど、まだまだ上がある、やや高級な商品といったところでしょう。それだけきものは高くて当然と思われているわけです。そういう意識と覚悟で売り場においでいただけるのは非常にありがたいことで、売る側としては助かります。ただ、それは必ずしも良いことだけではないような気がします。

 買う立場からすると、買い物で一番避けたいのは騙されることです。何かを買ったとして、別のお店でそれと同じものが自分の買った半額で売られていたら、相当がっかりしますね。日本では普通そんなことないような気もしますが、残念ながらきもの業界ではそれがまかり通ってしまう場合があるようです。呉服屋さんで、ちょっと買う気を見せるといきなり半値になったなんて聞いたことがありますが、それって本当の値段はどっちなのでしょう。実は、もっと安いのかもしれません。つまり、きものの場合、商品を見て、普通それがどれくらいの値段なのか見当がつかない。要するに、値段が高い安いということ以前に、それが適正かどうかの判断ができないことが不安につながるのだと思います。

 業界でも、10万円のきものは安物(とは私は思いませんが)と言わずに、できれば10万円の洋服と同じような価値観で見られる製品があるべきだと思います。全ての適正価格がわかるわけではないからこそ、まずは同じ着る物としての洋服の価値観に近づける。つまり少なくとも洋服並みの値段できものが買えれば、きものがもっと身近になると思います。それができるかどうかはわかりませんが、そういうものづくりをしてもおもしろいと思います。いかがでしょうか。