和装を楽しみたい方へ#12

キモチとモノ、そして
“よそゆき”を提案したい

 予定では#11で終わりにするつもりでしたが、ここまで書いてきて、やはり最後にひとまとめをしようと思いました。きものを着ない理由はいろいろありますが、きものを着たい側にも着せたい側にも、少しずつ変わらないといけないところがあるようです。そして、それは解決できない問題でもなさそうです。

 着たい側はキモチの問題のようでした。まず、きものについてとにかく知らない。でも、それは社会のせいで、ご本人が悪いのではありません。そして、きものや着付けや決まり事などが特別難しいわけではなくて、それもただ知らないだけでした。ですから、知らないなら、覚えるところから気楽にスタートしていただくだけなのです。それも、それほど専門的な知識は必要ありません。その上で、無意識のうちに練習を積んだ洋服の着方と同じで、多少の練習は必要なようです。

 着せたい側の作り手、売り手の課題はやはりモノでしょうか。なにが求められているのかをしっかり把握して、安くていいものを作り、供給する。一方で、もちろん芸術品もぜひ残していただきたいと思います。車でも数千万円の外車を買うかたがいれば、軽でいいというかたもいらっしゃるわけです。ただ、今多く求められているのは恐らく軽自動車の方で、足りないのは安くていい普段着きもの、本当のカジュアルきものだと思います。

 私の答えは、値段は洋服並み、最高でもせいぜい単品で10万円まで、さらに5万、できればきものと帯で3万円で提供できるものを作ることです。とりあえず、もめんのきものと帯を作りました。ただ、素材のプロフェッショナルとしては、素材を限定しないで、綿でも絹やポリエステルでも、こだわりのものづくりを続けたいたいと思います。そんな“よそゆき”、普段着きもの、本当の意味でのカジュアルきものを提案できれば最高です。

 きものを着たい側も着せたい側も、こんな課題を少しずつ解決することで、きものを着て楽しむ機会が増えればおしゃれの幅がもっと広がると思います。きものは日本の伝統であり民族衣装だからとか難しいことは抜きにして、きものを着ることが気軽に気楽にできて、みんなで楽しくなれば自然にきものを着る人が増えると思いませんか。

 「和装をもっと楽しみたい方へ」最後までお付き合いいただき、大変ありがとうございました。