和装を楽しみたい方へ#1

買えない-高い
-きものが高い理由

 きものや帯が高いのは、まずは多くが正絹と言われる絹製品だからです。

絹糸は高いもので、特に和装製品で使われるものは1kgで1万円を超えるものもあります。もっと高い糸が使われることも珍しくありません。原料となる糸の中には、ポリエステルや綿などのように千円以下で買えるものもありますから、それらに比べるとずいぶん高いことがおわかりいただけると思います。

 ただ、例えばきもの1枚分で使う糸はせいぜい1kg前後ですから、そこでの差は1万円程の材料代だけでしょう。もっとも絹の場合は、染めや、織りや、色々な加工についても手間のかかることが多く、それも値段を押し上げますから、それらの合計では材料代をはるかに大きな差額となります。が、それでも30万や50万円にはなりません。

 ところで、“手織りの帯”や“手描きのきもの”はよく耳にされると思います。もう一つの高い理由がこれです。デザインも人の手によるものですし、和装では色々な工程で伝統工芸的な手作業による技術が使われています。人の手間にはきりがなく、製作期間に1か月かかるとしたら当然それなりの費用がかかり、それだけ高いものになります。ただし、これも全ての製品について言えるわけではなく、高額な製品になればなるほど、手間暇を惜しみなくかけて作られていることが多いということでご理解下さい。

 このように高くなる理由は色々説明できるのですが、では、絹製品は必ず数十万円になるのかというと実はそうでもありません。例えば安い絹糸もたくさんありますし、工夫すればそこそこの値段で正絹ものもできます。だからといって綿やポリエステルと同じレベルまで安く作れるかというと当然限界はありますが、もっと値頃の絹製品があっても良いと思います。

 さて、価格優先で考えると、そもそもきものは絹でなければならないかということも考えられます。きものは絹が本物と思われがちですが、すでに遠い昔から絹は区別された特別なものでした。“布”という言葉自体、実は主に麻などの植物繊維による織物のことを指していたくらい、麻や綿のきものが伝統的に着られていたそうです。風合いや色など絹独特の良さはほかのものに代えられませんが、絹以外の材料でも本物のきものはできるのです。手間をかけすぎないことで売値を優先しつつ、オリジナリティあふれるきものや帯があってもいいと思います。