和装のよもやま話

店主のコラム

和装をもっと知ってもらいたい。

「ひさかたろまん」のデザイナー兼ディレクターである店主のブログでシリーズ化された記事をこちらにまとめています。

もっと和装を楽しみたい方へ

プロローグ

ひさかたろまんのホームページをご覧いただきありがとうございます。

ひさかたろまん / 佐啓産業株式会社 代表の佐藤です。

いつもお引き立ていただきありがとうございます。

 弊社は和装メーカーを90余年続けて参りました。ところが十数年前に小売店舗を開設したことで初めて、実際に製品をお使いになるお客様と直接お話しする機会ができました。そして、その会話を通して痛感したのは、きものが想像以上に理解されていないことでした。お客様に知識があるかないかということではなく、きものが必要以上に、とても難しいもの、ややこしいものと誤解されていると感じたのです。

 弊社ブランド「ひさかたろまん」のコンセプトをご存じでしょうか。それは、きものを気軽に気楽に楽しんでいただきたいということです。もちろん小売店舗“ひさかたや”も、その方針で運営しています。ですから、馴染みの薄いきものをどうやって気楽に楽しんでいただくか。あるいは、難しいことがあればそれをどう解決するか。そんなお手伝いをすることも大切な仕事の一部なのです。

 ところで、女性にきものを着たいですかという質問をすると、驚くほど高い確率で着たいという返事をいただきます。でも街では、ごくわずかなきもの姿しか見ることができません。ということは、着たい人の数と着る人の数とには、少なくとも実際には相当のギャップがあるわけです。そして、それには必ず理由があるはずです。それについて、まずは一歩ずつ細かく考え解決することが、きものを着ていただくことにつながると思います。

 そこで、“きものを着ない理由”について、これから考えてゆこうと思い立ちました。

 きものを難しいと感じている以外にも“理由”はたくさんあるようです。ただ、もちろんきものを着ない人自身にはなんの責任もありません。これは自然の成り行きによるものに違いないと思っています。となると、問題は情報発信側、商品供給側にあるのかもしれません。

 きもの供給側として、我々業界に携わる者はきもののことはそれなりにわかったつもりでいます。でも、実は我々の誰も気がついていない“理由”があるのではないか。あるいはその常識的な“理由”を、業界を上げて勘違いしたり無視したりしてはいないか。そのために、求められる適品が供給されていないという大問題はないのかと思うのです。だからこそ、問題を直視することで新しいものづくりにつなげようと考えたわけです。

 これは実際の声に対する私の思いです。受け売りではないからこそ間違いもあるかもしれません。ただ、正しいかどうかが問題ではなく、大切なのは私への賛否も含めた皆さんからの色々な声です。きものを着ていただくには、こうあるべきというよりも、こうあって欲しいという様々な思いを認めることが重要で、これが始まりなのだと考えます。

 少しずつアップしてゆきますので、全体の構成をお知らせしておきます。まずはきものを着ない理由を、”買えない”、”着られない”、”着て行くところがない”の3つの切り口から考えたいと思っています。全体構成は以下の通りです。
是非ご一読ください。