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きものの決まりごと

きものの決まりごと

 きくちいまさんが大変なことになっているようですね。業界人として、私も本は何冊か読んでいますし、フェイスブック友達でもあります。もちろん例の、“所詮・・・”という発言は問題でしょうが、これまでのきものについての考え方には共感するところが多かっただけに残念です。そして、いまさんの過去の意見までいいか悪いかという議論もあるようです。ただ、そういうことよりも、様々な声に触れたこの機会に“人の振り見て我が振り直せ”ということで、自分の発言についても気にしてみた次第です。

ひさかたろまんも“もっと気軽に気楽に、自由に着て欲しい”という提案はしていますが、そう言えば、確かに何でもありでいいとは思っていないところもあります。たとえば、左前に着る着方はとりあえずNGです。かといって、お直しおばさまのように街で見つけてそれをその場で指摘するつもりはありませんが、イラストの間違いもすごく気になってしまいます。でもこれはきもの特有のことかというとそうでもなく、男性が女性合わせの洋服を着ているのに違和感を持つのと同じような気がします。

 また、本当にきものの決まり事が多いのかというと、実はそれも少し違うように感じます。きものも着る場面は様々ですが、毎日着ている洋服に比べると、きものの出番は非日常の儀式の割合が多いのが現状です。儀式、すなわちフォーマルの席の装いというのはきものに限らずルールがあります。つまり、こういうときにはこういうきものを着るとかの面倒なルールの多くは、実はフォーマルについてのルールとも言えます。ですから、自宅でどんな洋服をどう着ていようが勝手なのと同じく、普段きものもルールにこだわる必要はないはずです。

 ただし、右前などのきものの最低限のルールは必要と思う反面、きものも時代とともに変わってゆくべきだと思うところも実はあります。現代着物姿が確立されたのは大正から昭和初期とも言われています。実際にきものの歴史を見ても、長い時代をかけて形や着こなしが大きく変わってきましたし、大流行して消えていった商品もたくさんあります。おそらく、紫式部がタイムスリップして現代に現れたら、今のきものの形や着方に、これはあり得ないと目を丸くすることでしょう。要するに、きものも環境の変化に適応するように次第に変化してきていたのです。

 きものの中で、最近一番特徴的な変化をしたのはゆかたではないでしょうか。形や柄こそ大変化はありませんが、少し前なら浴衣に半衿はあり得ないし、帯締も足袋も使わないのが常識でした。でも、今のお祭りなどを見ると実にいろいろなゆかたの着方があります。しかもそれらは専門家が進めたことではなく、着る人自身がいろいろ工夫して楽しむようになって、結果的に着方が大きく変わりました。これがファッションの自然な流れでもあり、やはりその変化は受け入れる必要があると思います。

 いろいろと回りくどい言い方をしましたが、きもののルールだけが面倒くさいのではなく、ルールの多くはフォーマルのルールです。そして、きものも時代とともに変わってゆかなければなりません。それがどんな風に変わるかというのは、特に普段着の世界では着る人次第です。こうでなければならないと決めつけないで、その変化や多様性をみんなで受け入れる寛容さが必要なのだと思います。まずは自分との違いに気づいてそれを認め、そんなやり方考え方もあるのかということを理解することが大切です。

 そして、これまでの私の意見も皆さんに押しつけるつもりはありません。いいか悪いか、正しいか間違っているかではなく、こういう考え方もあるということを知っていただけることだけで、まずは十分なのです。

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